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2016.06.10 ニュース, アーティスト・イン・レジデンス

第4回ジュネーヴ展 “COLLECTING TIME 2016” 報告1

アーティスト・イン・レジデンス/京都&Genève 交換プロジェクト

第4回ジュネーヴ展 “COLLECTING TIME 2016”

ジュネーブ展image
ジュネーブ展DM
昨年公募により決定した「第4回ジュネーヴ展 “COLLECTING TIME 2016”」の出展作家、武久絵里・笹岡由梨子の2名は、5月初旬にスイス・ジュネーヴへ出発。レジデンスがスタートしました。
2,3週間程の制作期間を経て、現在レジデンス会場であるEspace cheminée nord & Espace 27 Usine Kuglerにて展覧会“COLLECTING TIME 2016”が開催されています。
会期は5/26〜6/11。展示内容は、インスタレーション、アニメーション、写真、パフォーマンスなど。初日の5/26にはオープニングパーティが盛大に開かれました。
 
間もなくクロージングを迎えるにあたり、ジュネーヴでの滞在の様子について、それぞれの作家のレポートをご報告いたします。
まずは、①「ジュネーブ到着〜オープニングパーティーまで」の様子から。
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<武久絵里/Takehisa Eri>
 
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会場「Espace cheminée nord & Espace 27 Usine Kugler」の様子
 
ここ数年行ってきたパフォーマンスを、フランス語を用いて制作することで、「違う型に流れ込み直す」ということを目指していた。
到着したら、予め制作の手順を決めることをしたくなくなってしまった。散歩をしたり、買い物をしたり、ジュネーブで暮らす人の生活の片鱗にまず触れたかった。
訪れるさまざまな誘いの声に乗ることを積極的にした。パーティーや、特に音楽のイベントが充実している。
さまざまなオリジンの人から話を聞き、私が生きていて感じていることもたくさん話した。また笹岡さんと話しているうちに、日本国内での環境の違いについても知りたくなった。
実際のパフォーマンスのプランは、私自身がオープニング直前で変更を重ねてしまい、アリアンさんとの打ち合わせが密にできなかった。そこで当日に、アリアンさんの心遣いと、私の進行とのすれ違いがあり、私が取り乱してしまうことがあった。
しかしそのすれ違いに出会うことこそが、ここに来た目的だったので、「やっと始まる」という感触を得た。これから毎日、パフォーマンスは変化し、ジュネーブの人たちとの交換が続いていく。現れる“les pépins”(問題が転じて豊かな種となる)を楽しみたい。
 
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<笹岡由梨子/Sasaoka Yuriko>
 
5月11日「到着」
ジュネーブ空港に到着。クグラーの方々が車で迎えに来てくれた。滞在先のクグラーに到着後、少し散策して、近くのスーパーまで買い物をした。ジュネーブはとても治安がよく、人々も優しい。物価は高いと聞いていたが、野菜や乳製品は日本より安いくらい。しかし、外食はとても高い。クグラーの方々もたくさん話しかけてきてくれて、拙い英語でも一生懸命聞いてくれる。マリアさんのアトリエ兼寝室を借りることになった。素敵な部屋である。
 
5月12日「漠然」
人生初めての海外でのアーティストレジデンスでは、自分の制作を幅や、視野を広げるのが目的であった。日本から持ってきた、少ない武器(パステル、PC、一眼レフ)と短い制作時間でビデオ作品を作る。短い2週間という期間で、知らない土地でゼロから作って展示するという経験は今までにない。展示会場も広い。とりあえず、この日は近場を散策をしながら写真を撮り、スーパーで画用紙を買ってパステルでドローイングをした。イメージを少しづつ膨らませる。
 
5月13日「クリスチョンとの出会い」
今回作るビデオ作品にも、やはり音楽が必要である。まず、アリアンさんに「スイスらしい音楽をどこかで録音できないか」と尋ねる。すると、スイスの伝統的な楽器、アルプホルンを演奏しているクリスチョンという版画作家の男性が、クグラーにいると言う。彼は月曜日に川の側で演奏するらしく、実際の演奏を聴きに行き、交渉することにした。
 
5月16日「川の側の演奏会」
来る月曜日。川の側の屋根のある黄色い建物に、クリスチョンともう一人の男性が大きな楽器をもって演奏していた。日本では馴染みのない、素晴らしく美しい音色であった。ぜひ映像のため録音したいとお願いしたら、快くOKしてくださった。音楽が決まった瞬間から漠然としていたイメージが少しづつ固まっていく。
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5月17〜25日「制作」
まず、ジュネーブで目を引くオブジェクトをカメラに収めるため、散策した。町の木のカットの仕方、ほぼ家畜の動物園、のびのびと生活する犬、川でジョギングするカラフルな人たち、綺麗な草花。ジュネーブではありふれたものであろうそれらに、自分の目には新鮮で面白く見えた。そして、その中からチョイスし、オブジェクト自身を入力するような気持ちでパステルで描き、動画の1ピースとして切り取る編集作業をした。撮影・ドローイング・動画編集が同時進行で行われた。
 
5月26日「展覧会当日」
機材などのセッティングを全て事前にしてくれたアリさんのおかげもあり、当日ギリギリにビデオインスタレーション「SWISS」がなんとか完成した。初めて短い期間でゼロから作ったビデオ・インスタレーションとは、愛いものである。当日のレセプション・パーティーでは予想以上にたくさんの人が会場に来てくれた。作品の説明を求められるが、私が話すのは拙い英語。英語の勉強不足、、、それだけは少し後悔。しかし、レジデンスの目的も達成でき、力がついてきていることを肌で感じることができた、達成感のある展覧会となった。
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【「Swiss」(1分07秒、ビデオ・インスタレーション、2016)】

 
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【インスタレーションビュー】
 
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【「イカロスの花嫁」(7分、ビデオ・インスタレーション2015-2016)】
 
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以上。展覧会終了後も、引き続き滞在の様子をご報告いたします。 2016年6月10日